iPhone6のパノラマ写真モード考察

以前から気になってはいたのですが、なかなか確認できなかったパノラマ写真のことを少し考察してみます。近年ではスマホで簡単にパノラマ写真が撮れますが、手ぶれやカメラの振り方など、撮影自体コツがいる少し扱いにくい物です。そんなパノラマ写真ですが、実際どの程度の品質で撮影できるのか。今回身近にあったiPhone6で簡単な実験を行ってみました。

実験では、通常の写真モードで撮りたい方に向けて撮影した数枚の静止画をつなぎ合わせるパノラマ(merged-Panoramaとします)と、パノラマモードでジャイロセンサーを使用して撮りたい方を向けるだけでリアルタイムに合成できるパノラマ(swing-Panoramaとします)がどの程度違うのかを比較します。ここまでパノラマにする必要はなかったのですが、画角が広ければ広いほど撮影(振り方)が難しくなるので、その意味も含めてこのサイズにしました。以下が、その二つの全貌です。

ちなみに元画像は以下からご覧いただけます。(ファイルサイズ大/PC推奨)

Mt.Shirane merged-Panorama (6546×1403)
Mt.Shirane swing-Panorama (9884×3038)

上のmerged-Panoramaでは、iPhoneで横向きに撮った計3枚の写真を合成ソフトを使ってつなぎ合わせています。合成ソフトでは、境界部分の色味の差異を元に露出を補正したり、左右にカメラを向けた時に生じる微妙な歪みなども自動で補正しており、他にも手動で設定することでかなり高度な合成をすることができます。一方非常に手軽なswing-Panoramaでは、センサーをビデオモードにして使用しているのか撮影時に表示される画角が狭くなりますが、iPhoneが縦向きであることから結果的に画角は前者より広くなっています。この時は左側から右側に向かって撮影しました。露出は適時変更されソフト上で合成しているようですが、写真左側で直射日光がレンズに入らなくなった瞬間の急激な光量の変化には対応できず、顕著な色ムラができてしまいました。露出を固定することで色ムラ自体は回避できそうですが、おそらくこの左側部分は白飛びしてしまうので、この場合結果的に露出オートで無難だったと思います。

次に、山肌をピクセル等倍で切り出してみました。まずはmerged-Panoramaから。

続いてswing-Panoramaです。

画角が異なるので解像感の比較は一概にできないのですが、色味を見てもやはりビデオモードと思われるswing-Panoramaでは全体的に暗く、ボケたような印象を受けます。全貌を比較するとswing-Panoramaの方がコントラストが高く綺麗に見えたのですが、拡大するとそれが逆転してしまいました。

次に、上の画像の一部をほぼ同じ画角でトリミングしてみました。swing-Panoramaがビデオモードでデジタルズームに近いものですので、merged-Panoramaをデジタルズームしたものを並べました。(swing-Panoramaはそのまま)

拡大することでmerged-Panoramaもデジタルズームのアラが目立ってきますが、よく見るとswing-Panoramaの方が山肌が少し眠たい(ボケ気味な)感じがします。しかし思っていたよりswing-Panoramaの画質が良いのでびっくりしました。大きく引き延ばさないのであれば、必要十分とも思えます。

結果として、iPhone6では複数枚撮影および編集という手間と、うまく繋がらなかった時のリスク(今の所起きていませんが)を覚悟出来れば、パノラマモードで撮影するより綺麗なパノラマ写真は撮れるけれど、劇的な差はないという事でしょうか。この差を大きいものと感じる人は恐らくちゃんとしたカメラを持っていらっしゃる方で、使い分けされているかと思います。私もスマホのカメラとデジカメは使い分けていますが、たとえスマホのカメラでもモードの違いによる大きな差(品質のブレ)が少ないことは嬉しく思います。

ただ、強風が吹いていたり足場が悪かったりと、ブレずに水平にカメラを動かせる状況でなければswing-Panoramaは圧倒的に不利になります。手ぶれ補正のあるiPhone6 plusならば多少話が違うのかもしれませんが、スマホが小さなボディである以上この問題は付きまといそうです。

さて、iPhoneによる検証は終わりましたが、願わくばα7Rあたりを入手して、一眼レフでのswing−Panoramaもやってみたいところです!縦方向でパノラマを撮れれば、私の場合は高い広角レンズを買わないでも事足りるかもしれません。(一眼レフはスマホほどアスペクト比が横長ではないですが)この辺りも、センサーの使い方や合成アルゴリズムなど、カメラに載っている制御ソフト次第で大きく変わってくるのも面白いところ。今後も技術向上でさらなるswing-Panoramaの画質が上がることを期待しておきます!