原付で行く東日本縦断5351kmの旅 (4)

旅もいよいよ終盤へ差し掛かり、北海道の道東を回ります。道東は高校の時修学旅行で行った記憶があるのですが、熱を出して朦朧としていたのであまり記憶がありません。(笑)正直、一度行ったことのあるところと言うよりは、初めて行くところと言う気持ちが強かったです。

10日目となるこの日は、女満別湖畔キャンプ場からのスタートです。軌跡はこちら。



10日目はかなり悲惨な目に遭いました。と言うのも、この年一番の大雨が降ったからなのです。北海道だけでなく、この日から数日間、西日本までに渡って全国的に大雨が降っていたようです。雨が降るのは天気予報で分かっていたのですが、朝は雨が降っていなかったことと、移動しないと言うプランは元から無かったので(笑)、雨支度だけしっかりして網走湖を後にしました。バイクということもあり、こういう雨の日は写真が殆ど撮れないのは仕方がないですね…。

この日のルートは軌跡にある通り、一度日本海側へ出て知床半島を経由し、再び道東の内陸部へと向かいます。雨を想定して完全防備で出発したのですが、曇っているものの一向に雨が降ってこない…。脱ごうかとも思ったのですが、大体脱ぐと降ってくるのがお決まりなのでここは我慢してそのまま走っていたのですが、日本海へ出るか出ないかの頃、ポツリと雨が降り出しました。それと同時に海から陸に掛けて大規模な霧を確認!道東は霧が掛かりやすいことで有名ですが、悪天候と言うこともあってかなり強烈です。ただ道路が走りやすく、お盆時期でしたが車も人も少なかったので、比較的安心して走ることが出来ました。

そしていよいよ知床エリアへ。小雨が降っていましたが、知床八景の一つであるオシンコシンの滝を見に行きました。知床国道沿いにある大きな滝です。お盆の時期ということもあり、観光客が沢山訪れていました。

十分にマイナスイオンを浴びたところで滝は見納め。その後知床峠を越えたのですが、先日の宗谷岬の濃霧を超える酷い霧で、正直どんなところを通ったのかも分からないくらい、終始白の世界が続きました。(笑)

知床半島の次に向かったのは、当初予定していなかった野付半島。元々形状から人が立ち寄れない場所だと思っていたのですが、前日に地図を見ていたら道を発見!急遽立ち寄ることになりました。しかしこれが大誤算!半島と言えど遮蔽物もなく、半ば海の沖へ続く一本橋の様なもの。大雨は豪雨へ、強風は暴風へ変わりました。今まで体験したことのない様な大嵐。(笑)半島の付け根から先端部までは20km程度。一直線の道路で、右も左も海です。最終端にあるビジターセンターへ到着した時には、完全防備と思っていた雨具も虚しく、隙間から雨が入り込み全身びしょ濡れ。寒さに震えながらも、濡れた体で中に入るわけにも行かず、再び来た道を戻りました。最終的に、この旅で一番辛かったですね~。(笑)でも晴れた時に再度来てみたい、心の中ではそう思っていました。

野付半島から抜け出し、内陸部へと入っていきます。立ち寄ったのは、開陽台。開陽台というキーワードでウェブ検索すると、北海道の広大な大地を一望出来る素晴らしいビューポイントであることが分かり、当初から楽しみにしていたのですが、如何せんこの天候です。これはもう笑い話なのですが、余りに何も見えなくてケータイで記念に撮った一枚があります。

地球・実感・視界330度!・・・330度と言わず360度何にも見えませんでした。(笑)一応行ったと言う記憶だけ頭の片隅に残し、その後宿へと向かいます。本当なら開陽台でキャンプの予定でしたが、悪天候のため急遽川湯温泉で宿を予約しました。お盆の時期で空きがあるか不安でしたが、空き部屋があって助かりました。値段がリーズナブルなだけでなく、バイクの車庫まで用意されており、雨に悩んでいただけに非常に助かりました。そして温泉の質もよく、疲れが一気に取れました。


雨上がりの11日目。軌跡はこちら。

この日の天候は曇り。昨日の豪雨が止んだだけでも御の字です。川湯温泉からスタートし、道東の内陸部を回ります。最初に向かったのは、摩周湖の第三展望台。霧の摩周湖という言葉もありますが、展望台に行くまでの峠道で既に濃霧。(笑)かすかな希望をもって行ってみましたが、やはりダメでした。その後丁度反対側になる裏摩周の展望台へも立ち寄りましたが、湖面すら見えず撃沈。確か修学旅行で来たときも殆ど見えなかった記憶があります。

次に、摩周湖から少し北の位置にある、その摩周湖の地下水で出来ていると言う神の子池へ足を運びました。こちらも青池の様に観光地化が進んでおり、かなりの人が見に来ていました。

透き通ったコバルトブルー。神の子池という名前が本当にぴったりの綺麗な池でした。これを見てしまうと、ますます晴れた日の摩周湖を拝みたくなります。

その後道道を更に北上し、途中で脇道にそれてさくらの滝と言う所へ向かいました。ダート道で心配でしたが、とても長閑な風景で癒されました。そして、とても分かりづらい曲がり角に入ると、さくらの滝がありました。少しマイナーなスポットなのですが、時期が合えばマスの遡上が見られる所なのです。そして…。

見られました!遡上している魚を写真に写すのは難しそうですが、実は写真に写せるくらい、沢山のサクラマスが遡上しているのです。と言うことで動画を貼り付けておきます!

これだけの数がいると言うことは熊がいつ出てもおかしくない…と言うことで、目の前にも熊注意の看板がありましたが、初めて見る遡上の迫力に釘付けになり、暫くその場で見入っていました。それにしても珍しい物を見ることが出来ました。ところでさくらの滝は3.7m程あり、殆どのマスは滝を超えられていませんでした。身を傷付けながらも何度も何度も挑戦する姿は、非常に心を打たれました。頑張れサクラマス!

その後、屈斜路湖を大きく回るように、美幌峠へ向かいます。景色が綺麗と知ってこのルートを選んだのですが、あいにくの雲であまり景観はよくありませんでした。屈斜路湖が見えたところで少し空が見えてきたので一枚!

ちなみに生憎にもクッシーは外出中だったらしく見ることは出来ませんでした。(笑)

屈斜路湖を後にし、阿寒湖方面へ向かいます。阿寒湖もマリモを見に一度訪れているはずなのですが、以前のイメージと全く違い、ホテルが立ち並ぶ観光地でした。場所が少し違ったのでしょうか。この日は釧路へ向かう予定だったので、この時点で既に時間がかなりきつかったのですが、近くまで来ていたのでオンネトーへも立ち寄りました。

大きいサイズの写真は以下からダウンロードできます。

Sacret Lake (1920×1200)

これがとても綺麗でビックリ!どういうわけか天気までとても良い!分厚い雲がこんな晴天になるとは、信じられません。湖面に反射する雌阿寒岳と阿寒富士がとても美しいです。秘湖と呼ばれるのが納得です。

その後、少し遠回りをして、釧路湿原の中を通って釧路へ向かいます。元々釧路でバイクを止められるホテルを予約してあったので、気持ちはとても楽です。キャンプ予定の日とは違って、雨でも何でも来い状態です。(笑)夕食は、友人に教えて貰った寿司屋へ入りました。しかしお盆時期で人が多く、一人では肩身が狭かったですね。(笑)

ホテルに戻って次の日の支度をし、久しぶりのベッドで休みました。


明くる日、この日はこの東日本縦断旅行で唯一、バイクに乗らない日です。と言っても歩いて観光、ではなく電車とバスでの移動になります。軌跡はこちら。

朝7時半にホテルを出発。連泊することになっていたので、荷物は全て部屋に置きっぱなし。とても身軽です。釧路駅まで朝の街をぶらぶらと散歩がてら歩きました。朝の散歩って気持ちが良いです。

釧路駅に着いたのは8時頃。8時15分発の花咲線(根室本線)へ乗車します。ホームにやってきたのは何ともそれらしい雰囲気の漂うディーゼル車。そういえば電化されていないからなのか、この辺りでは電車ではなく汽車と呼ぶそうです。

ローカル線と思っていたのですが、本数が少ないせいか意外と乗っている人が多かったです。それでも駅に停車するごとに人は減り、車内に残る人もかなり少なくなりました。すると突然ローカル線の雰囲気が出てきます。ディーゼルエンジンの音、かすかに聞こえる地元の方の世間話、窓の外に広がる広大な自然、全てが都心には無いものです。

本当はお昼ご飯に厚岸のかきめしを買っていきたかったのですが、電車の本数的にどうしても途中下車出来なかったため、断念。根室へ直行します。根室からはバスに乗り換え、本土最東端である納沙布岬へ向かいました。途中で降りた地元のおばあちゃんの『帰りのバスは何時だい?』と言う問いかけに、バスの運転士が『2時間後だよ。』と答えたやりとりが印象的でした。

バスに揺られること45分。道中お天気は曇り気味でしたが、岬に着くと幸いにも晴れていました。

最北端でも確認した様に、ここ最東端でも記念にGPSで座標を確認してみました。

納沙布岬の位置は東経145度49分ですが、GPS計測でも東経145.812234°(145度48分44秒)とほぼ最東端の地を踏んだことになります。

ここ納沙布岬は、北方領土が視認出来る程の位置にあり、特に領土の返還に力を力を上げているようです。シンボルの一つとして、四島のかけはしと言うモニュメントがありました。中央には祈りの火と呼ばれる灯火があります。

大きいサイズの写真は以下からダウンロードできます。

A Symbol For Four Islands (1920×1200)

また、北方館と言う資料館があり、そこで北方領土問題の歴史を学ぶことが出来ました。ニュースなどではなかなか説明されない事情など細部まで知ると、非常に複雑な気持ちになりました。一言に返せと言っても返せない実情があります。北方館には返還運動の署名があったので、私も署名してきました。

既に署名者8418万人…日本の人口を考えると余裕で過半数以上です。なんだかやりきれないですね…。

さて、目的の最東端に到達したので、再び釧路へと戻ります。根室駅の隣にある東根室駅にはこんな表示がありました。

そういえば、最北端の駅である稚内駅にも似たような表示があるそうです。東西南北全て回ったら面白そうですね。そんなことを考えているうちに、海側から霧が押し寄せてきました。砂嵐かと思うような低空飛行で、海から陸へと迫っています。そういえば知床へ行くときも似たようなものを見た記憶があります。釧路へ着くと、街にも少し霧が掛かっていました。

16時過ぎには帰ってこれたので、17時開店の炉端焼きのお店へ駆け込みます。こちらも友人に教えて貰ったお店。元はイクラ丼が食べたかっただけなのですが、海鮮全般好きならとオススメして貰いました。

なんと贅沢!炉端焼きって初めてだったのですが、シンプルに焼いて食べるだけなので、素材の味が生きていて美味しいですね~。しかしお一人様大歓迎と書いてありましたが、こういうお店にお盆の時期に入るのは結構勇気がいりますね。(笑)店内大繁盛でした。

海鮮大好きの自分はすっかり満足して、この日はホテルの床につきました。


13日目以降は次の記事へ続きます。