原付で行く西日本横断3333kmの旅 (1)

前回のポストでちらっと書きましたが、初めての一人旅をしてきました。やってみたい好奇心の反面、一人旅なんて面白くないと思っていた自分ですが、今のうちにやっておかないと出来なくなるかも、と思い切ってみました。…が、ちょっと思い切り過ぎたようで、結構な長旅になってしまいました。(笑)

元々の趣旨は、福島まで行けたんだから京都と大阪へ観光がてらバイクで行ってこよう!というものでした。燃費の良い原付(125cc)なので移動費もかからないし、ボーナスを使い果たした自分にぴったりの旅になるはずでした。(笑)ところが気がついてみれば、どうせ行くならもっと西の方、九州まで行こう…そして九州へ行くならついでに四国にも行こう、と計画はどんどんエスカレート。実は西は大阪までしか行ったことが無かったから、というのもあります。折角の一人旅なので、友人と会う約束以外は基本ノープランです。その場で好きなように出来る、それが醍醐味なんだと思っていました。

車と違って社内で寝泊まり出来ないので、移動費の次に抑えるのはやはり宿泊費です。人によっては駅のベンチで寝たりするらしいですが、私にはちょっとその勇気はなかったので、テントと寝袋を買って無料のキャンプ場で野営すれば、アウトドアの楽しみとコストダウンを両立できると思い、事前にテントや寝袋を購入しました。初期コストは掛かるけれど、旅行の半分をテントで過ごせば、ホテルに泊まるのと変わらない出費となる算段でした。

今回は支度と睡眠時間に余裕を持たせたかったので、休みに入って2日目の早朝に出発することにしました。結果的には準備をしていなさすぎて前日大慌てで準備をしたので、出発の4時間前に就寝でした。(笑)3連休の中日に出発したのですが、天気予報では快晴。雨男な自分は、珍しい出来事に気持ちが高ぶりなかなか寝付けませんでしたが、ほぼ予定通りの2時に起床し、バイクの荷積みを始めます。普段はメットインで事足りるので、タンデムシートに荷物をくくりつけるのは慣れておらず時間がかかります。冷蔵庫をからにして、ごみを捨てて…家を空ける準備やら忘れ物チェックやら念入りにしていたら、かれこれ一時間ぐらい経過したでしょうか。

なんと…雨が降ってきました。しかも、どしゃ降り(゜Д゜)どうしていいか分からず一度家に入りうろうろしていたのですが、天気予報を見ると朝5時まで雨に変わっています。昨晩はそんなことなかったのに!さすがですと自分に言い聞かせたところで、雨が止んでから出たのではその日のキャンプ予定地に着くのが日没後になってしまいます。テントをはる練習はしたものの、慣れていないので暗闇での設営は出来るだけ避けたかったのです。もちろんどこかで当たることは覚悟していたので雨用の準備はあるのですが、いきなり使うことになるとは…。2時間ぐらいは濡れてしまうのを覚悟で、レインウェアを着て出発です。


さて、1日目の走行軌跡はこちら!iPhoneのGPSを利用して、移動経路を記録してみました。ほぼ生データなので、拡大すると迷った痕跡なんかも残っています。(笑)スタート地点は適当な場所に設定しています。



横浜からスタートして、西へ西へ、ひたすら国道1号を走ります。国道1号は、始点の東京から終点の京都まで、東海道とほぼ同じ場所を通過する国道です。番号的にも1番がついている国道1号を終点まで走れるって、ちょっと達成感がありますよね!

小田原付近へ到着した頃には雨も止み、日が昇ってきたおかげで少し暖かくなってきました。それまでは寒くて寒くて、ずっと震えっぱなしでした。タンブラー的なものに熱いお茶を入れてきて本当に正解でした。山は特に寒いんです!そんな山の途中、箱根峠でレインウェアを脱ぐために最初の休憩を取りました。明るくなってよく見えるようになった自分のバイクをみて、ちょっとびっくり。

ツーリング仕様?

荷物多いなあ…。メットインにも寝袋とか野営用具が詰め込まれています。大半は着替えとかタオルとかなので、重さはそんなにありません。全部で15kgくらいかな?ついでなので説明書きを付けてみました。(笑)大事なところは、iPhoneをナビにしているところですね!運転中画面を見ると危険ですが、ちゃんと音声案内をしてくれるので、イヤホンを付けて使っています。あと長時間の運転でぼけっとしそうになったときに、小さな音でiPodをならすことも出来ます。(周囲の音は聞こえる程度に!)

その後は天気も晴れ、順調に国道1号を進んでいきます。原付なので、高速道路はおろか、無料の自動車専用道路(バイパス系が多い)も通れないのは正直辛いですが、逆に周囲の景色を楽しめると思って走っています。(笑)途中実は国道1号を少しだけはずれ、愛知の三河湾を眺めに山の方へ登ってみました。

三河湾

特徴的な形をしている愛知県の、あの湾になっている所の一部です。絶景とまではいきませんが、雲も殆どなくて気持ちが良かったです。途中の山道で、荷物がほどけ道路に散乱するという事故もありましたが、後ろに誰も走っていなかったので大事にならず助かりました。荷造りはちゃんとしないといけませんね。縛っていたロープを更に増やし、きつく縛ってからは大丈夫になりました。…しかし三河湾って言いづらい!

名古屋の市街地は避けて通り、その後三重県四日市市の工業地帯を通過します。規模の大きさに本当にびっくりしました。関東だと京浜地区が有名ですが、なんかそれとはまた景色が違って、もっと大きい世界に見えました。日本を支えている何かを感じました。

その後滋賀・京都・大阪と抜け、初日のキャンプ地である兵庫県に入ったのは、既に17時過ぎ。18時には日が沈むと分かっていたのでその時点で大分焦りましたが、ナビがちゃんと働いてくれたらしく、普通だったら通らないような山道を迷わず登って到着!時間は18時半くらいだったでしょうか。辺りはすでに薄暗くなっていました。ぎりぎりセーフと言いたいところですが、ちょっとアウトな感じ。(笑)キャンプ場は、大野山の頂上にある、大野アルプスランドです。ここには天文台もあって、晴れていれば星も見えるそうなので、選びました。

しかしここ、秋山だというのに、連休と言うこともあってなのか思っていたよりも人が多い!誰も居ない暗がりで一人で寝るの怖い!とか内心ちょっと思っていたので、妙な安心感が。(笑)

大野アルプスランド

あちらこちらにランタンの灯りがあって、子供の声も聞こえて寝るにはうるさいくらいでした。と言っても十分に明るいわけではないので、めぼしい場所を見つけたらそばの木の枝にランタンをぶら下げて灯りをともし、テントを設営します。ランタンだけでは暗いので、ヘッドランプも大活躍です。

初野営

テントの中で寝床の準備をして、荷物を入れて施錠したところで、辺りをブラブラしてみることに。その頃には完全に日が無くなり、辺りは真っ暗。ヘッドランプの光を頼りに、天文台へ歩いてみました。本当は星が見られたらよかったのですが、満月なのは想定外でした…。

天文台

ありました!どんな大きい望遠鏡があるのかと思っていたら、可愛い天文台でした。(笑)

特に他には何もなかったので、家から持ってきたおにぎりを食べて就寝。次の日1時半起きの予定だったので、慌てて寝付いたのは21時半くらいだったでしょうか。なかなかのタイトスケジュールです。(笑)


雨が降らないか冷や冷やしながら迎えた次の日。2時に出発予定だったので、テントを片付けたりする時間を考えて1時半に起床しました。起きて感じたこと、とにかく寒い!息は白いし、寝袋から出たくない気持ちで一杯でしたが、そんなこともあろうかと用意しておいた携帯カイロを全身に携えて、出発の準備です。テントを設営したときよりも辺りはずっと暗く手こずりましたが、身支度を済ませて出発したのは2時半。なんだかんだ1時間は掛かってしまいました。

なんでこんなに出発が早いのかと言うと、実はその日の昼過ぎに友人と高知で待ち合わせしていたからなんです。瀬戸大橋を通れればもっと近いのですが、実は原付が陸路で本州から四国へ渡れるのは、広島と愛媛の間に掛かる橋、しまなみ海道しか存在しないのです。その為朝早く出発し、広島へ抜けてから愛媛、高知と進む必要がありました。日本三景である宮島にも行ってみたかったのですが、今回は諦めました。さて、2日目の走行軌跡はこちら!

早朝と言うよりまだ深夜という時間の出発で、更に山という事で辺りは本当に真っ暗!初めてハイビームを使いました。(笑)それでも暗い!

闇

山を下る途中何度も野生のシカに遭遇して、一度ははねそうになって心臓が止まるかと思いました。道路の端にいるから大丈夫だと思って素通りしようとすると、逃げようとなぜか道路の中央へと飛び込んでくるのです…。怖くなってかなり安全運転になっていましたが、降りるまでに8匹のシカに出会いました。ちょっと怖かったですが、自然が一杯なんですね~!

キャンプ場からは姫路の方へ抜けていきました。本当に山の中を走る道路なのですが、道幅も広いし走りやすく、こんな道路に誰も居ないのが逆に怖い!(こんな時間に人が居ても怖いか・笑)山を下っていくと平地に出ましたが、ひたすらまっすぐな道が多く、家もあまりないので見通しがよく、不思議な所でした。(朝方だったからかも?)ちなみに側を通ったので姫路城の前まで行ってみたのですが、暗すぎてなんにも見えず…。(笑)残念でした。(地図を拡大すると寄り道したのが分かりますね)

その後国道2号で暫く西へ向かいます。昨日は国道1号、今日は国道2号。順番に走れて気持ちが良いですね。この国道2号にも途中自動車専用道路で通れない場所があり、多少迂回しました。こういう時にナビは役に立ちます。そのまま広島まで国道2号で行けるのですが、それでは面白くないので、岡山ブルーラインという岡山県の海側を走る道路にそれてみました。

ブルーライン

写真は辺りが薄明るくなって来たときに撮った、ブルーラインの初めの方。地図で見ると伊里川という川のようですね。この後ブルーラインは川縁から海縁へと移り、瀬戸内海に浮かぶ島々の脇を通っていきます。薄暗く若干もやが掛かっていたのと、駐停車禁止っぽかったので特に写真は撮らなかったのですが、異世界に来た様な、幻想的な景色が続きました。

その後また国道2号へと道を戻し、広島を目指します。途中岡山バイパスという国道2号のバイパス道路を通ったのですが、自動車専用道路でもないのに制限速度が70キロの区間があってびっくりしました。いつの日か法定速度を上回る一般道を作れるようになっていたらしいのです。125ccのバイクで60キロ以上出せるところはないと思っていたので、拍子抜けでした。ちなみに新潟の方にも同じようなバイパスがあるらしいです。

岡山・広島と国道2号を抜けて尾道へ着くと、いよいよ瀬戸内海を渡って四国へとつながる橋が現れます。ここはにしまなみ海道(西瀬戸自動車道)という高速道路で、瀬戸内海に浮かぶ島々を計9本の橋で渡る道路なのです。初めて見る瀬戸内海に、とっても完動したのを覚えています。海の縁を道路が通り、海のすぐ先に島があって山がある。その山の向こうにはまた海がありその先に島がある。そんな風景が至る所に見られます。そして温暖な気候。とってものどかな所です。

瀬戸内海

バイクと行っても、しまなみ海道を渡るのは非常に大変です。地図では緑色になっている有料道路がありますが、実際は橋以外は違うところを走っているのが分かると思います。橋の部分だけ歩行者・自転車・原付が通れる道路を併設しているだけなので、それ以外の部分は島の一般道を走ることになるのです。これがまた大変で…迷うしいつまで経っても四国にたどり着かないしで大変でした。(笑)あとで調べてみると、歩行者・自転車・原付でしまなみ海道を渡った場合、本州から四国まで80kmはあるそうです。これには驚きましたよ!バイクで良かった…。歩行者とかフルマラソン2回近くも1日じゃ渡れませんね。(笑)

そんな険しいしまなみ海道ですが、景色はとても良いです。ベイブリッジやレインボーブリッジが出来たときは凄い凄いと見に行ったものですが、その位の大きい橋がいっぱい架かっています。

しまなみ海道1

通行量は大体1つの橋あたり50~100円と安いです。ただ無人で回収箱が置いてあるだけなので、おつりが出ません。私は50円玉の持ち合わせがなく、殆ど100円玉で払ったのでちょっと払いすぎました。(笑)ちなみに橋のどの部分を通るかというと、2種類あって、一つ目は道路の下にもう1層あってそこが歩行者・自転車・原付用になっているもの。これは実際1つしかありませんでしたが、足のはるか下に海があるのを感じるので、とっても怖いです…。

しまなみ海道2

そしてもう一つは、道路の上に歩道のように併設されているもの。こちらの方が橋を渡っている感じがして気持ちは良いです。殆どこのパターンでした。

しまなみ海道3

ナビだと1時間くらいで通過することになっているしまなみ海道でしたが、迷ったり遠回りしたりで結局2時間半以上いたような気がします…。友人に少し遅れると連絡をいれ、いよいよ四国に上陸です!四国に上陸したばかりの頃は、まさに大きな島にきたような気分でしたが、その先民家を通ったり山道を走ったりしているうちに、その気分はなくなりました。そういえば本州だって大きな島ですからね。(笑)

その後高知に向かって四国山地を超えていきます。愛媛と高知の県境にあったトンネルが、めちゃくちゃ長かったです。後で調べてみると、一般道では日本一の長さ(寒風山トンネル/5432m)らしいです!笹子トンネルなんかよりもずっと長いと感じていたのですが、やはり、と言う感じです。トンネルを抜けると、そこには素晴らしい自然がありました。高低差のあるダイナミックな山々、そしてその麓に流れる巨大な川。本州では見たことのない風景でした。山が高ければ、その麓に流れる川は沢になっていて細いと思っていたのですが、四国は違いました。しまなみ海道のせいで時間が全然なく写真を撮れなかったのが未だに悔いなのですが、特に仁淀川の縁を走る国道194号は最高でした。四国に行くことがあればまた是非行ってみたい!そう思います。

そういえば前日は時間がなくてお風呂に入れなかったので、途中友人に会う前に温泉に立ち寄りました。(時間なかったけど…!)木の香温泉と書いて、きのこ温泉…じゃなくってこのか温泉というところでした。

木の香温泉

温泉は本当に疲れが取れます。ツーリングに来ている人も結構いて、アウェイなのにちょっと親近感が沸きました。

その後制限速度で山道をぶっ飛ばして(笑)、元々の予定よりは遅れたけれど、予想時刻より2時間くらい早く高知駅へ到着。待ち合わせ時刻より早くついたので、高知駅の周辺をうろうろしてみました。高知にきてまず思ったことは、路面電車が一杯走っていること!でも踏切はなくて、車も平気で電車の前で線路を横切ったりしているんです。都心部じゃ考えられない光景…と言いたいところですがここも高知駅前なので都心部ですね。路面電車とともに大きくなった街なのでしょうか。

高知の路面電車

駅間がやたら短く、写真の様に電車が詰まっていることもよくあるようです。そして色々な路線があり、交差点で線路が交差するところもありました。ちなみに路面電車は土佐電気鉄道、略してトデンって言うらしいです。なんか聞いたことあるような…。(笑)

その後友人と合流したのですが、「何にも無い街だけどどうする?」と聞かれ、非常に困りました。(笑)とりあえず日本三大がっかり名所らしい「はりまや橋」に案内して貰いました。

はりまや橋

う~ん、納得しないでもない!(笑)これはかつての橋を復元したものっぽい(?)けど、どうしてこんな街のど真ん中にあるんだろう…。「う~ん、がっかり!」と呟いてその場を後にしました。

もう一度尋ねても、がっかりスポット以外何もないと言われたので、時間的に夕日をみれる所はないかと尋ねてみると、坂本龍馬が子供の頃遊んだという桂浜に行ってみようと言うことになりました。しかしなにげにバスで30分以上の道のりだったらしく、急いで移動したものの、着いたときは既に日の入り10分前!急いで浜までいってみるも、お日様は岩の影…。あれぇ。

桂浜

よく見ると障害物になっていた岩は登れるようになっている(写真に写っている柵のところ)ことに気がつき、慌てて登ってみるとぎりぎり沈む瞬間が見えました。ホントに、あとちょっと遅かったら見えなかったという位。(笑)

桂浜の夕日

ちなみに慌てて2回目のシャッターおしたら動画モードにしてしまったらしく、運良く日の入りの瞬間を収めることが出来ました。(笑)小さすぎて大きくしないと見えないかもしれませんが…。

あんまりうまく撮れてなかったですね。ごめん…なさい。

ごめん

大事な事なので2箇所表示しています。(笑)

と言うわけで日の入りもみれたし満足したところで、再び高知駅に戻って、鰹のたたきを食べに連れて行って貰いました。そういえば高知と言えば鰹が有名ですよねえ。すっかり忘れていました!

鰹のたたき

目の前でたたいてくれるのですが、なかなかこういうパフォーマンスは見られませんね!(バーナーで焼いてるのは見たことありますが・笑)名前を聞くのを忘れてしまったのですが、ここは地元の人が多くあつまる場所で、小さい出店が沢山出ていました。みんなお酒を片手に、楽しそうに話していました。地方にいかないとなかなかない、ちょっとうらやましい雰囲気の所でした。

鰹のたたき定食

鰹のたたき定食、美味しく頂きました!

慌ただしかったですが、友人と別れた後、次の日のスケジュールを決めるためにネットカフェに入りました。本当はこの日もキャンプ場に行くはずだったのですが、時間が遅くなってしまったので諦め。こういうノープランの旅には、調べ物が出来るネットカフェが便利と言うことに気がつきました。(笑)何せ次の日九州へ行く予定が、どうも雨予報らしいのです。ここに来て雨男パワーが…。


と言うわけで3日目は次の記事へと続きます。